研究課題/領域番号 |
20K10911
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研究機関 | 富山県立大学 |
研究代表者 |
村田 美代子 富山県立大学, 看護学部, 講師 (00627002)
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研究分担者 |
寺井 孝弘 富山県立大学, 看護学部, 講師 (20595326)
工藤 里香 富山県立大学, 看護学部, 准教授 (80364032)
松井 弘美 富山県立大学, 看護学部, 教授 (70515725)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 父親 / 児の泣き / 認知過程 / 相互作用 / 育児行動 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は乳児の泣きに直面した父親の対児感情と認知、思考、行動を質的に分析し、泣きにおける父親の認知過程を明らかにすることである。現代の父親は、育児においてこれまでの母親をサポートする立場から直接的に育児を担う役割が求められ、積極的な子育てへの参加が推奨されている。父親の果たす役割は家庭の経済面を第一義的に担うことから、仕事を調整し妻の負担軽減を考慮して育児を実践することへ移行し、「養育する父親」として新たに文化的イメージが付与されてきている。しかしながら現代の父親は母親と同様、少子化で幼い子どもとの交流が希薄な環境で育っており、初めて子どもを持つ父親は自身を通じた妊娠の知覚がなく、父親としての自覚が形成されにくい。そのためパートナーの身心の変化を介して自己の父親役割を適応させていくことが求められるが、その個人差は大きい。このような状況において、父親は子どもの出生とともに母親と同様の子育ての担い手になることが、これまでよりも火急的に求められている。しかし日本の父親が育児に関わる時間は先進国と比べ最低の水準であり、母親に比べて乳児との相互作用を育む時間は圧倒的に少ないといえる。母親は日常的な相互作用の中で泣く意味を理解し判断する経験を重ね、乳児の求める育児行動へと呼応している。しかし父親は、乳児の泣きの特徴に関した知識が乏しい点やその泣きの理解を判断する経験が少ないことより、乳児の泣きの意味を理解できず、苛立ちとなり衝動的な行動につながりかねない。現在、児童虐待において実父が「泣きやまないことに苛立って」加害した事例が多く、死亡年齢は2か月と5か月時に発生件数のピークがあったと報告がある。そのため乳児の泣きに対して対応できる支援に向けた父親の認知過程を明らかにすることが急務と考える。そのため当該年度は父親の乳児の泣きの捉え方における概念分析を現在進めているところである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
現在並行して行っている研究において新型コロナウイルスの感染拡大による影響が甚大で思いのほか時間がかかり、研究が進んでいない状況にある。
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今後の研究の推進方策 |
父親の乳児の泣きに対する概念分析の完成を目指し、乳児の泣きに対する認知過程を明らかにするために父親への面接調査に向けたインタビューガイドを作成し、調査内容・方法の検討を行っていく。さらに調査実施のために、倫理申請を行い、承認を得たのち、調査を実施していく。
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次年度使用額が生じた理由 |
設備備品の購入として計上していた予算のうち、研究の進捗の遅れより執行が進まなかった。また当初、旅費として計上していた国際学会参加は、新型コロナウイルスの感染拡大により、国際学会(ICM)の開催が1年延期となったため、その分の旅費を次年度に持ち越す予定である。
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