研究課題/領域番号 |
20K11111
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研究機関 | 杏林大学 |
研究代表者 |
大木 幸子 杏林大学, 保健学部, 教授 (50453519)
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研究分担者 |
藤井 広美 杏林大学, 保健学部, 准教授 (10336844)
高城 智圭 京都看護大学, 看護学部, 准教授 (20458962)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 児童虐待 / ケアの倫理 / 保健師 / 虐待リスク要因 / 配偶者間暴力 / メンタルヘルス |
研究実績の概要 |
初年度は文献のレビューを行い、児童虐待リスクを抱える家族への支援にあたっての「ケアの倫理」の有効性と枠組みの検討を行った。 まず、児童虐待リスクのある家族の親の背景要因を検討した。児童虐待リスクは虐待者(親)の要因、被虐待者(子ども)の要因、社会的経済的要因があげられているが、近年の海外文献では、親及び家族野要因である、親の若年、被虐体験、メンタルヘルス、配偶者間の暴力、経済状況と児童虐待との関連が指摘されている。 次に、これらのリスクをもつ親との支援関係形成のための支援技術の枠組みを「ケアの倫理」に基づき検討した。その結果、メイヤロフが8つ挙げたケアの要素(Mayeroff, M., 1971)のうち、「忍耐」、「正直」、「信頼」が注目された。これらから①あるがままの「対象者」を受け止める(忍耐」)、②生活者として経験してきた歴史に敬意を払う(「正直」)、③当事者が成長する力をもっていることを信頼する(「信頼」)の3つを支援の枠組みとした。 研究計画では抽出した枠組みに基づきインタビュー調査を予定していたが、COVID-19流行の影響のため実施が困難であった。そのため、児童虐待事件の当事者の手記(「結愛へ 目黒区虐待死事件 母の獄中手記」)の中での支援機関とのかかわりの記述部分を抽出し、前述の支援枠組みでの働きかけが支援として合致するか、その妥当性を検討した。その結果、配偶者間暴力によりPTSD状態に陥っている当事者が発しているSOSを捉えるために、「①当事者の話しを注意深く聴き、起こっている体験の意味を当事者が語ることを助ける」を加えた。これは「忍耐」にあたる項目と位置付けられた。 次年度は、児童虐待事例の支援者と当事者にインタビュー調査を行い、本年度の支援方法の枠組みを基に、「ケアの倫理」に基づく支援技術の抽出を行う予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
COVID-19の感染拡大を受け、教育体制が変わったことで学務が膨大したことや、対面での研究班会議やインタビューの設定が困難であったことから、かなり研究は遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
2020年度の遅れを取り戻せるように、2021年度は、オンラインを活用しながら、研究班会議を進め、インタビュー調査を実施する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
2020年度はCOVID-19の影響を受け、予定していた回数の研究班会議および対面でのインタビュー調査が実施できなかったため、次年度使用額が発生した。 2021年は、研究の遅れを取り戻すために、オンラインでの研究班会議の頻度を上げ、感染予防に留意しながら、インタビュー調査を実施する予定である。
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