研究課題/領域番号 |
20K11144
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研究機関 | 京都橘大学 |
研究代表者 |
黒瀧 安紀子 京都橘大学, 看護学部, 専任講師 (70593630)
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研究分担者 |
勝沼 志保里 宮城大学, 看護学群, 助教 (10794323)
宮本 純子 姫路大学, 看護学部, 准教授 (70794288)
石井 美由紀 京都橘大学, 看護学部, 准教授 (40437447)
下田 優子 京都橘大学, 看護学部, 助教F (20845979)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 受援 / 行政保健師 / コロナ禍での受援 |
研究実績の概要 |
本研究は、被災地での保健師の受援状況を明らかにし、受援計画のモデル案を作成する。そして作成した受援計画のモデル案を基に、行政保健師と共に自治体の特性に合致した受援計画を策定し、その策定プロセスをアクションリサーチの手法を用いて明確化し、受援計画策定のガイドラインを示すことにある。 研究期間は4年間を予定し、3段階で行う予定であり、2020年度は、第1段階:保健師の受援の明確化の実施で、受援経験のある行政保健師にインタビュー調査を行う予定であったが、COVID-19の流行により、他県に移動してのインタビュー調査の実施等が難しい状況となった。このため、行政保健師の災害への備えに関する状況の把握を行った。K市の行政保健師は、災害への備えが不十分と感じており、特に発災時の保健師活動に自信がないということが明らかとなった。発災時に自分たちが活動できる自信がないと感じており、まずは活動できるだけの準備が必要な状況であるということが明らかとなった。受援計画等、外部から支援受け入れについては、発災時の活動がある程度整ってからという意識であることがわかった。このため、行政保健師のアクションカードの作成を行い、発災時の活動に向けた備えを行った。 そのような状況である中、COVID-19の積極的疫学調査のために、支援に行く機会があり、支援するという立場から受援について考える機会ができつつある状況である。自治体は受援計画の策定を求められており、自治体の保健分野においても受援計画の策定は必要であり、そのことが今回のCOVID-19禍でより認識されることになったと考える。すでに東京等の自治体での保健師の受援についての報告もあることから、2021年度、研究を進めていく土壌が整ってきていると考える。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
COVID-19により、自然災害の被災地にインタビュー調査に行くことが難しくなった。しかし都道府県内の中で、行政保健師が疫学調査のために支援や受援を行う機会が増加した。また現在、COVID-19禍での応援、受援が行われていることから、そのことに関する論文が出始めると予想される。そのため文献検討や情報収集を行い、感染症という健康危機での受援について明らかにした上で、自然災害での受援と相違点を明らかにしつつ、健康危機下での受援計画作成を模索していこうと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
COVID-19の影響により自然災害時の被災地でのインタビューができなくなったが、その代わりに近隣でCOVID-19をきっかけに起こっている支援や受援の現場に対する調査を行うというように、調査対象を変更し実施する計画である。行政保健師に対する災害への備えの講義や支援を通して、協力してくれる自治体保健師とのつながりもできつつあることから、研究を進めるための準備は着実に進んでいる。また、講義を行った自治体保健師も、これまでは発災時の保健師活動への自信がなく、アクションカード作成等に注力していたが、COVID-19での応援の経験から、受援への関心も高まっている。このため、2021年度は、近隣での受援経験等を調査すると同時に、受援計画策定に協力してくれる自治体との関係を盤石にしていきたいと考える。
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次年度使用額が生じた理由 |
インタビュー調査を行う予定であり、旅費を計上していたが、COVID-19のため、調査に行くことができなかった。また、学会などもオンライン開催となったことも影響していると考える。 今年度は、COVID-19の状況を見つつ、近隣でインタビュー調査を行う予定であり、旅費、調査協力や逐語録作成のため謝金、遠方に関しては、i-pad等とモバイルWifiを送付して、インタビューを行う方法を検討し、研究を進めていく予定である。
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