本研究では子供の運動機能と運動学習能力を脳の運動制御観点から定量的に分析・可視化できる「子供の運動発達ナビゲーターシステム」を構築することを目的とする。これまでの共同研究先であるハンドン大学(韓国)の付属小学校の小学生と小松市にある子供の交流施設の協力を得て知覚運動統合の発達が観察できる6歳児から小学生までを対象に指標追跡運動を行い、収集した子供のデータに基づいて各年齢別の運動能力を脳の運動制御に基づいて定量的に行った。特に今年度には小学校低学年の時期には位置制御の発達と小学校高学年には速度制御の発達時期であることを確認できるなど、子供の運動発達と小脳の役割についてフィードバック誤差学習理論(Kawato and Gomi 1992)に基づいて実験的に検証できる方法論が確立でき、その研究内容を英語論文としてまとめて投稿中である。また、指標追跡運動を子供や発達障害児にも楽しくできるように、指標追跡運動を子供の大好きな「タブレットPC用のゲーム形式」として改良し、画面上のカーソルを指で直接追跡できる「タブレットPCを用いた簡便・安価な運動機能検査システム」を構築し、その研究開発内容を国際会議(ITC-CSCC2023)で発表した。さらに、子供向けの仮想空間でゲーム形式の上肢運動を3次元仮想現実空間で直接評価できるシステムと分析方法を提案し、その研究内容を英文雑誌(Scientific reports(2023))に掲載するのに責任著者として貢献した。
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