本研究では、舌への触・圧覚、痛覚刺激が脳血管性認知症モデルラットに及ぼす影響を検討した。その結果、行動研究では、脳血管性認知症モデル(P2VO)群に対し、脳血管性認知症モデルに舌刺激を行った群で、認知機能低下の改善効果が認められた。また、P2VO群の海馬では、BrdU、c-Fos、BDNFの発現が低下され、舌刺激群で増加又は増加傾向を示した。神経細胞死に関しては、P2VO群で細胞死の増加、舌刺激群では若干の発現抑制がみられた。これらの結果から、舌刺激は脳血管性認知症モデルラットの海馬を活性化させ、成長因子や細胞新生に影響を与え、脳血管性認知症での記憶力低下を改善させた可能性が示唆された。
|