研究課題/領域番号 |
20K11902
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
石橋 圭太 千葉大学, 大学院工学研究院, 准教授 (40325569)
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研究分担者 |
赤間 章英 前橋工科大学, 工学部, 助教 (00847733)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 脳血流調節 / 脳機能 / ヒューマンインタフェース / 聴性脳幹反応 |
研究実績の概要 |
本研究は,ヒューマンエラーにつながる潜在的な要因を見出すために,立ちくらみ様の一過性の脳血流低下時の脳機能の変化に注目し,脳機能が十全に保たれていない状態での使用を想定した,より安全性の高いヒューマンインタフェースを考察することを目的としている。そのために,本研究では簡便に高い再現性で脳血流の低下させることが可能な,正弦波下半身陰圧負荷(SLBP)を用い,SLBP時に脳機能がどのように変化するのかについて脳波計測から明らかにする。 令和2年度は,脳幹レベルの反応を見るために,SLBP時の聴性脳幹反応(ABR)を検討した。ABRは聴覚刺激によって誘発される蝸牛神経から脳幹までを信号源とする脳電位変動であり,頭皮上から測定可能である。ABRは聴神経へ血流を供給する前下小脳動脈の一時的な閉塞で波形が変化することが報告されている。検討の結果,視聴覚統合にかかわる脳幹の下丘の活動を反映しているABRの第V波の潜時がSLBPの位相に対して影響を受けることが明らかとなった。またSLBPの位相変化に対して脳血流の変動が大きい被験者ほど,第V波の潜時の変動が大きいことも明らかとなった。 一方でABRの測定プロトコルでは,刺激に対する反応時間などの,行動指標を測定することはできないため,より高次の脳機能へ脳血流の変動が及ぼすの影響を明らかにすることはできていない。SLBP時の脳幹レベルの反応が,より高次の脳機能へ及ぼす影響について検討を行う必要が示された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
脳幹レベルの反応からSLBPによる脳血流変動に対する脳機能への影響を見ることができた。
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今後の研究の推進方策 |
より高次の脳機能への影響をみるために,脳波とあわせて反応時間などの行動指標も含めて検討を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナの関連で,出張が制限されたため,旅費の執行がなかった。特に海外出張がなかったことで,次年度使用額が生じている。
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