本研究では,静電誘引形インクジェットの技術を応用した嗅覚提示装置の試作を行いました.また,その試作機を用いて,匂いのもととなる精油を希釈した液体を飛翔させられること,ノズルにかける電圧で,飛翔の有無を制御できることを確認しました.静電誘引形インクジェットは,油性インクを用いた紙への印刷の他に,可食インクを用いた食品への印刷,鉄板への離型油の塗布など様々な用途での応用が試みられてきましたが,新たな応用先の可能性が示されたことになります.また,描画における階調表現のように濃度調節まで可能であることを,今後確認できれば,より一層表現力の高い嗅覚提示装置の開発につながると考えられます.
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