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2020 年度 実施状況報告書

科学的根拠のある金融テクニカル分析による市場仮説検証力の強化

研究課題

研究課題/領域番号 20K11969
研究機関茨城大学

研究代表者

鈴木 智也  茨城大学, 理工学研究科(工学野), 教授 (70408649)

研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2023-03-31
キーワード機械学習 / データサイエンス / 金融情報工学 / フィンテック
研究実績の概要

近年,人工知能(AI)技術の実務への応用が加速しているが,本研究では特に金融業務への応用としてFinTechに関する投資運用モデルをいくつか提案した.提案モデルでは,深層学習・集団学習・異常検知など様々なAI技術を用いるが,それらの妥当性を実データによる投資シミュレーションおよび統計的仮説検定に基づいて調査した.その結果,単にまぐれでは解釈できない収益性を確認し,伝統的経済学の基盤をなす効率的市場仮説の反証になり得る可能性を指摘した.これらの成果は学術論文4編(内2編は印刷中)や国内発表10件に示し,さらに研究成果を活用した私募ファンド(ジャパン・ダブルアルファ・ファンド)を大和アセットマネジメント株式会社より組成した.
本ファンドのコンセプトとして,正常時の金融市場をAIに学習させ,現実の株価との乖離により,異常な価格変化を検出する.行動経済学によれば,異常な乖離は投資家らの不安回避や自信過剰心理によって引き起こされ,その後は市場の効率性により本来の株価へ引き戻す力が働くと考えられる.そこで,再現された正常値であるファンダメンタルズと,実際の株価・資産価格との差を群衆の異常心理と捉え,過大反応が起きている状態であればリバーサル(負の自己相関)が,過小反応であればモメンタム(正の自己相関)が起こると想定する.本モデルから出力される異常度をアルファ情報と捉え,その傾向や特性をシミュレーションにより確認した結果,正常状態アルファ情報と異常状態アルファ情報(機械学習+異常検知)を合成することにより,情報の有効性と運用の安定性が向上することを確認できた.
その他,各種企業との共同研究を通じて,外国為替市場や中古車オークション市場のような価値交換市場においても人工知能・機械学習のアプローチが通用するのか検討し,充分な可能性を確認できた.引き続き次年度においても,詳細な検討を継続する.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

学術論文4編(内2編は印刷中),国内発表10件,解説4編,報道6件などを鑑み,順調に研究成果を挙げていると考えられる.

今後の研究の推進方策

国内発表した研究テーマについて内容をよりブラッシュアップし,2021年度中に学術論文誌に投稿する.その他,進行中の研究テーマについては国内外で成果を発表し,外部の専門家らによる意見を伺いブラッシュアップを図る.

  • 研究成果

    (17件)

すべて 2021 2020 その他

すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 4件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (10件) 図書 (1件) 備考 (2件)

  • [雑誌論文] 情報処理学会論文誌2021

    • 著者名/発表者名
      工藤大輝, 福西亮介, 黛広樹, 鈴木智也
    • 雑誌名

      機械学習による中古車落札価格の要因分析及び割安評価

      巻: - ページ: -

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 国内輸入に伴う貿易取引通貨比率とゴトオビアノマリーの関係2021

    • 著者名/発表者名
      秋山朋也, 酒本隆太, 杉本誠忠, 鈴木智也
    • 雑誌名

      JAFEEジャーナル

      巻: 19 ページ: 57-78

    • DOI

      10.32212/jafee.19.0_57

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] カバー先銀行の集合知による外国為替レートの短期予測2020

    • 著者名/発表者名
      矢野和洞, 鈴木丈裕, 鈴木智也
    • 雑誌名

      Journal of Signal Processing

      巻: 24 ページ: 113-122

    • DOI

      10.2299/jsp.24.113

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [雑誌論文] 暗号資産の異常ジャンプ検知による分散投資2020

    • 著者名/発表者名
      鈴木智也, 玉城玲奈
    • 雑誌名

      Technical Analysts Journal

      巻: 7 ページ: 19-30

    • 査読あり
  • [学会発表] オートエンコーダの異常検知による行動経済学的特性の抽出2021

    • 著者名/発表者名
      川田瑛貴, 田中陸, 鈴木智也
    • 学会等名
      電子情報通信学会総合大会
  • [学会発表] 国内投資信託における資金流出入要因の極性分析2021

    • 著者名/発表者名
      吉田遼平, 近藤洋平, 鈴木智也
    • 学会等名
      電子情報通信学会総合大会
  • [学会発表] 機械学習による全国中古車オークション会場の割安特性2021

    • 著者名/発表者名
      鈴木智也, 工藤大輝, 黛広樹
    • 学会等名
      電子情報通信学会総合大会
  • [学会発表] 機械学習による中古車落札価格の要因分析及び異常検知2020

    • 著者名/発表者名
      工藤大輝, 福西亮介, 黛広樹, 鈴木智也
    • 学会等名
      情報処理学会MPS研究会
  • [学会発表] ニュースヘッドラインの機械学習によるアクティブ運用2020

    • 著者名/発表者名
      細木唯以, 江口潤一, 鈴木智也
    • 学会等名
      JAFEE大会
  • [学会発表] カバー付き金利平価からの乖離を利用した為替フォワード取引2020

    • 著者名/発表者名
      雉子波晶, 柳澤弘毅, 杉本誠忠, 酒本隆太, 鈴木智也
    • 学会等名
      JAFEE大会
  • [学会発表] 円相場における日本特有のゴトウビアノマリー2020

    • 著者名/発表者名
      堀之内智, 杉本誠忠, 酒本隆太, 鈴木智也
    • 学会等名
      JAFEE大会
  • [学会発表] Word2Vec を用いたニューステキストのESGファクター運用2020

    • 著者名/発表者名
      秋山祥伍, 江口潤一, 鈴木智也
    • 学会等名
      人工知能学会全国大会
  • [学会発表] 為替フォワード取引における最適タイミングの機械学習2020

    • 著者名/発表者名
      柳澤弘毅, 雉子波晶, 杉本誠忠, 酒本隆太, 鈴木智也
    • 学会等名
      人工知能学会全国大会
  • [学会発表] 暗号資産における共和分ペアトレード2020

    • 著者名/発表者名
      大和田直希, 鈴木智也
    • 学会等名
      人工知能学会全国大会
  • [図書] 工場・製造プロセスへのIoT・AI導入と活用の仕方2020

    • 著者名/発表者名
      鈴木智也, 小林祐児, 山田浩貢, 山本晴義, 川畑英貴, 嶋村公一, 長谷川徹, 佐藤朋美, 坂田愼一, 鎌田聖一, 笠原亮介, 柳康裕, 長尾智晴, 池田和隆, 白石洋一, 神薗建太, 川平孝雄, 百嶋徹, 岡田一成, 境野哲, 他32名
    • 総ページ数
      605
    • 出版者
      技術情報協会
    • ISBN
      4861047919
  • [備考] 茨城大学 鈴木研究室

    • URL

      http://tsuzuki.ise.ibaraki.ac.jp/TS_lab/index.html

  • [備考] 茨城大 鈴木智也 のページ

    • URL

      http://tsuzuki.ise.ibaraki.ac.jp

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公開日: 2021-12-27  

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