土壌を介して窒素分をえる維管束植物と異なり、コケは大気降下物に含まれる窒素分を直接、吸収する。そのため、本研究成果で明らかにしたコケの窒素プールとしての機能や窒素循環に果たす役割は生態系における窒素の動態を理解するうえで重要な成果となる。 また、コケは窒素汚染に敏感に反応するため、優れた指標生物としても利用されている。この指標性から、本研究で解明した窒素負荷に対するコケの応答は、窒素汚染に対する生態系の初期応答の解明や、生態系のモニタリングにも応用できる。今後、気候変動の影響で生態系が大きく変わると予想されており、コケを利用した生態系のモニタリングはより重要になると期待される。
|