本研究では、熱処理による土壌からの鉛の溶出・揮発の仕組みを、モデル土壌と実汚染土壌を用いて、化学形態の観点から検証した。土壌中に普遍的に存在する酸化物であるフェリハイドライトに吸着した鉛の化学形態は、300oC付近で変化が見られ、酸化鉛(PbO)への変化が確認された。鉛を含む実汚染土壌を用いて、100から900oCの熱処理を適用し、鉛の溶解性や化学形態を明らかにした。処理温度900oC では、鉛の溶出が未処理土壌と比較して90%程度低下することが分かった。熱処理温度が900oCの高温になると、土壌のアルミナケイ酸塩鉱物が融解し、鉛が取り込まれて不溶性の化合物を形成することも確認された。
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