本研究の目的は、訪日リピーターについて、「観光のリピート行動の要因は何か」の問いの下、とくにバラエティ・シーキング(VS)行動との関係に着目してリピート行動のモデル化を図ることであった。しかし、新型コロナウィルスの感染拡大に伴い世界的に国際人流が停止し、日本も海外からの観光客の受入を中止した。そのため、研究目的は維持しつつ、アプローチや調査内容を変更する必要が生じた。 2020年度は新型コロナウイルスと観光に関して世界の動きを把握し、観光分野をはじめとする学術研究のサーベイを中心に行った。 2021年度は、マーケティングの研究者と議論し、顧客エンゲージメント研究を基にコロナ禍で旅行できない状況でのエンゲージメントに着目した。台湾・タイの訪日経験者・未経験者を対象にオンライン調査でデータ収集し、リピーターのエンゲージメント行動および訪日意向を調査分析した。その結果、再訪やノベルティ・シーキングの定義が異なる可能性が考えられることを示した。 2022年度は、引き続きマーケティングの研究者とともに、訪日観光客のリピーターに対する戦略の基礎となる研究を行うこととした。成果としては、インタビュー調査の実施は叶わなかったが、2021年度の調査を基に論文(査読なし)を執筆して寄稿した。2023年度は海外のインタビュー調査が可能と判断し、リピーターに直接インタビューすることを優先し研究期間の延長を申請した。 2023年度は、タイと台湾の訪日リピーターにインタビュー調査し、コロナ禍でのエンゲージメント行動や訪日意向、ノベルティ・シーキングを把握した。 訪日に限らず、観光のリピート動機と行動についてさらに研究を進めるため、基盤研究(B)「観光のリピート動機とリピート行動モデルの構築」(2023年度~2027年度)に応募し採択された。本研究の成果を引き継ぎ、リピート行動モデルの構築を目指す。
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