本研究は、観光計画論の立場から、山岳地の歴史的参詣道を対象に、移動に伴う景観体験の特性を明らかにし、その特性を自然歩道等の計画に資することを目的とした。 事例調査の結果、各参詣道では、到達目的地である寺社近傍で周辺への可視性が概ね最大ないし極大に達すること、またその手前において歩行者の身体的負荷の増分が極大に達し、負荷が低下する状況で可視性の極大値が訪れるラグが存在することが確認された。これらは参詣の体験を特徴づける原理の一側面として考察され、可視性と身体的負荷は地形から予測・評価可能であるため、登山道の新設や改修に際して両者の予測と調整が有用であることが示唆された。
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