研究課題/領域番号 |
20K12470
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
見市 建 早稲田大学, 国際学術院(アジア太平洋研究科), 教授 (10457749)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | インドネシア / フェミニズム / イスラーム / 社会運動 / 東南アジア |
研究実績の概要 |
本年度は新型コロナウイルスの流行により、現地調査が不可能になったため、過去に行った調査、収集資料と追加のオンラインインタビューに基づき、英語と日本語でインドネシアのイスラミック・フェミニズムに関連する論文を発表した。 第一に、国会に提起されながら2019年に採択が見送られた性暴力排除法案をめぐる政治過程に関するものである。同法案は超組織のフェミニスト活動家らが2012年から準備をし、16年に国会提出、その後もロビーを続けている。2019年大統領選挙を挟んで展開された、この法案をめぐる政治的攻防については日本語で、法案の反対派であるイスラーム主義者の論理を中心とした論文は英語で発表した(いずれも査読付論文)。第二に、2017年に行われた第一回インドネシア女性ウラマー会議(KUPI)の公式資料の紹介、抄訳を日本語で発表した。KUPIは、「世界初」を謳った女性のイスラーム法学者による会議体であり、女性の人権向上を目的にプログレッシブなイスラーム法解釈を提案している。その公式資料は、インドネシアのイスラミック・フェミニズムを理解するための基礎資料となる。KUPIの提言の一つである女子の法定結婚最低年齢引き上げは、憲法裁判所の判決を経て政策変更に結びついている。この具体的な政治過程の解明について、予備的なオンラインインタビューを行った。 また以上の研究について、日本語、英語、インドネシア語によるオンライン研究会で複数回発表を行い、有益なフィードバックを得た。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
現地調査の延期は痛手であったが、これまでの収集した資料やオンラインインタビューの活用によっておおむね順調に成果をあげることができた。
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今後の研究の推進方策 |
先述した女子の法定結婚最低年齢の引き上げの政治過程について研究をまとめること、イスラミック・フェミニズムの思想への理解を深めることが本年度の目標である。現地調査が望ましいが、不可能な場合は資料の取り寄せやオンラインインタビューで補う予定で準備を進めている。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス蔓延による国外調査の中止のため。改めて調査を行う予定。
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