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2022 年度 実施状況報告書

アジアの女性美術家のライフコースに見る芸術実践について

研究課題

研究課題/領域番号 20K12475
研究機関京都芸術大学

研究代表者

小勝 禮子  京都芸術大学, 芸術学部, 非常勤講師 (80370865)

研究分担者 金 惠信  沖縄県立芸術大学, 美術工芸学部, 教授 (30448948)
川浪 千鶴  京都芸術大学, 芸術学部, 非常勤講師 (30961669)
研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2024-03-31
キーワードアジア現代美術 / 女性美術家 / ジェンダー / ライフコース / 歴史 / 地域 / 境界 / 社会と美術
研究実績の概要

本研究の概要は、美術館の展覧会や国際現代美術展などで女性美術家が選ばれることが少なく、注目されにくい現況に対して、アジア各地で40代以降も継続して活動する女性美術家の存在を本研究を通じて調査研究し、広く紹介することである。
しかしながら令和4年度もCOVID-19の流行が引き続き、所属する京都芸術大学では海外出張は禁止という措置が継続された。当初予定していた欧州とアジア各地(台湾、韓国、香港等)での調査も断念せざるを得なかった。しかし国内出張は秋以降、可能になったため、あいちトリエンナーレ調査を始め、熊本、金沢、兵庫等の美術館における女性アーティストをめぐる重要な展覧会の調査を実施することができた。
科研費基盤研究(C)「東アジアの女性アーティストに見る地域と歴史の境界をめぐる研究」(2017-20年度)によって構築したウェブサイト「アジアの女性アーティスト:ジェンダー、歴史、境界」のデータベースに登録・公開する作業も継続して行った。この調査と登録は本科研も引継ぎ、延長した最終年度までに地域や年齢層も幅広く調査し、アジア女性アーティストの基礎的なデータベースとして一層充実させ、公開を続ける予定である。昨年度の新規登録は3件にとどまり停滞してしまったが、新しい項目として「インタビュー・座談会」というページを新たに作り、初回に沖縄の染織家にインタビューをすることができた。令和5年度には特にインタビューに焦点を絞って、研究分担者たちの協力を得て、4,5人のインタビューを実施し、公開する予定である。
調査出張については、関東圏での女性アーティストの個展やグループ展にも引き続き可能な限り足を運び、可能な場合はアーティスト本人からも話を聞くなどして、その成果を印刷物やウェブサイトに公表した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

令和4年度もCOVID-19の流行が引き続き、所属する大学の方針で海外調査が禁止されたことが大きい。昨年度開催されたヴェニス・ビエンナーレは初めて女性アーティストとLGBTQの作家だけによる展覧会を実施したが、残念ながら調査することができなかった。しかし国内出張は可能になったので、昨年度の遅れを少しずつ取り戻すことができた。

今後の研究の推進方策

展覧会のために来日した海外在住のアジア女性作家と知己を得て、報告者が科研費によって管理運営するウェブサイト「アジアの女性アーティスト」のデータベースへの登録を依頼したり、2021年に報告者が執筆発表した日本人女性アーティストに関する批評文に、近作の情報を新たに追記して英訳を行い、2023年秋にアメリカの女性美術雑誌に掲載応募する予定など、昨年度の遅れを取り戻して最終年度に成果を上げる計画を整えている。
可能な範囲で韓国や台湾、香港など近隣のアジア諸国や、欧州などの海外作家調査を進めたい。またそれとともに、大学教育や学会などで既にすっかり定着したZoomを使ったオンラインでの研究会や打ち合わせのミーティング、作家インタビューなどを積極的に推進して行きたい。
研究の進捗が停滞していることを挽回するために、昨年度から新たに金惠信氏(沖縄県立芸術大学)と川浪千鶴氏(京都芸術大学)の2名に研究分担者として加わってもらい、沖縄、九州、四国など、報告者一人では行き届かない、地方で活動する女性美術家について調査研究を担ってもらうこととした。早速、昨年は沖縄在住の染織家のインタビューを行い、今年4月に公開した。引き続き、今年度も4,5人の九州や沖縄を含めた地方の活動歴の長い女性作家へのインタビューとその公開を続ける予定である。こうした先行世代のアーティストの経験が、次世代の女性アーティストに励みや指針を与えることを企図している。
アジアの女性アーティストのデータベースとなるウェブサイトも、作品写真や評論などのデータを引き続き登録して行きたい。

次年度使用額が生じた理由

令和4年度も海外調査がまったくできなかったことが大きい。令和5年度からは海外調査も可能になったので、できる範囲でアジア地域の女性アーティストの調査を行いたい。昨年度から研究分担者2名に加わってもらったので、二人にも国内外の調査を担ってもらい、また今年度実施する予定の女性アーティスト・インタビューなどによって研究成果を上げていく予定である。

  • 研究成果

    (21件)

すべて 2023 2022

すべて 雑誌論文 (14件) (うち国際共著 2件、 査読あり 3件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (7件) (うち国際学会 2件、 招待講演 7件)

  • [雑誌論文] 見ることをめぐって2023

    • 著者名/発表者名
      川浪千鶴
    • 雑誌名

      『VOCA展2023 現代美術の展望―新しい平面の作家たち』展図録、VOCA展実行委員会・上野の森美術館

      巻: - ページ: 16-17

  • [雑誌論文] 彼女が編み続ける理由2023

    • 著者名/発表者名
      川浪千鶴
    • 雑誌名

      記録集『アートラボ 美術作家平川渚「手編みの物語をあつめる」プロジェクト』、鹿児島県霧島アートの森

      巻: - ページ: 6-7

  • [雑誌論文] I氏賞15周年に寄せて2023

    • 著者名/発表者名
      川浪千鶴
    • 雑誌名

      『岡山県新進美術家育成 I氏賞15周年記念誌』、I氏賞事業運営委員会・岡山県立美術館

      巻: - ページ: 5

  • [雑誌論文] つなぎまちにつながる2023

    • 著者名/発表者名
      川浪千鶴
    • 雑誌名

      記録集『五十嵐靖晃 海渡り 2022』、つなぎ美術館(熊本県)

      巻: - ページ: 14

  • [雑誌論文] 回顧・現代地方譚をめぐる人々2023

    • 著者名/発表者名
      川浪千鶴
    • 雑誌名

      記録集『現代地方譚10 鳥瞰と微視』、すさき芸術のまちづくり実行委員会(高知県)

      巻: - ページ: 68-71

  • [雑誌論文] 女性が描く女性労働者の絵について2022

    • 著者名/発表者名
      小勝禮子
    • 雑誌名

      美術フォーラム21

      巻: 46 ページ: 40-46

    • 査読あり
  • [雑誌論文] The Introduction of Gender Perspectives in Japanese Museums2022

    • 著者名/発表者名
      Kokatsu Reiko
    • 雑誌名

      Bunka-cho Art Platform Japan, https://artplatform.go.jp/resources/readings/R202113

      巻: - ページ: -

    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著
  • [雑誌論文] Yukiko(Yuki) Katsura, Japanese visual artist.2022

    • 著者名/発表者名
      Reiko Kokatsu
    • 雑誌名

      AWARE: Archives of Women Artists, Research and Exhibitions, https://awarewomenartists.com/en/artiste/yukiko-yuki-katsura/?from=search

      巻: - ページ: -

    • 査読あり / オープンアクセス / 国際共著
  • [雑誌論文] 美術展示レビュー「美術月評」6月8日2022

    • 著者名/発表者名
      金惠信
    • 雑誌名

      琉球新報

      巻: - ページ: -

  • [雑誌論文] 美術展示レビュー「美術月評」12月7日2022

    • 著者名/発表者名
      金惠信
    • 雑誌名

      琉球新報

      巻: - ページ: -

  • [雑誌論文] 未来をまねく遅延2022

    • 著者名/発表者名
      川浪千鶴
    • 雑誌名

      DM『画廊からの発言 新世代への視点2022荒瀬哲也展』ギャラリー58(東京) https://www.gallery-58.com/exhibition/2022_exhibitions/2022_arase/

      巻: - ページ: -

    • オープンアクセス
  • [雑誌論文] あとがき カイコの回顧2022

    • 著者名/発表者名
      川浪千鶴
    • 雑誌名

      記録集『秋の種2021→22:牛島智子 インスタレーション ミミズになる。/アーティスト・トーク 牛島智子カイコ』秋の種企画委員会(福岡市)

      巻: - ページ: 84-85

  • [雑誌論文] 6人のアーティストが表したことは。2022

    • 著者名/発表者名
      川浪千鶴
    • 雑誌名

      記録集『生きる私が表すことは。鹿児島ゆかりの現代作家展』、かわるあいだの美術実行委員会(鹿児島)

      巻: - ページ: 40

  • [雑誌論文] Review審査講評、優秀賞評2022

    • 著者名/発表者名
      川浪千鶴
    • 雑誌名

      『アート・ミュージアム・プレス2022』山口県立美術館

      巻: - ページ: 3-4

  • [学会発表] 女性と歴史―戦争、暴力、死、記憶2023

    • 著者名/発表者名
      小勝禮子
    • 学会等名
      総合女性史学会2022年度大会「危機・ジェンダー・表象の歴史学―描く女/描かれる女―」
    • 招待講演
  • [学会発表] VOCA30周年記念シンポジウム「これまでと今」2023

    • 著者名/発表者名
      植松 由佳、荒木 夏実、川浪 千鶴、前山 裕司、永沢 碧衣、エレナ・トゥタッチコワ、黒山 真央、田中 藍衣
    • 学会等名
      「VOCA展2023」上野の森美術館
    • 招待講演
  • [学会発表] シンポジウム「I氏賞の現在と未来」2023

    • 著者名/発表者名
      尾﨑信一郎、川浪千鶴、松井えり菜、下道基行、横山翔平
    • 学会等名
      「I氏賞15周年シンポジウム」岡山県立美術館
    • 招待講演
  • [学会発表] 伝統を越えて世界と向き合う─シャジア・シカンダーの歩み、そしてアートに込めた思い2022

    • 著者名/発表者名
      シャジア・シカンダー、小勝禮子、後小路雅弘(コーディネーター)
    • 学会等名
      福岡アジア文化賞第32回芸術・文化賞(福岡市)
    • 国際学会 / 招待講演
  • [学会発表] 戦後の前衛―合田佐和子と同時代の女性美術家たち2022

    • 著者名/発表者名
      小勝禮子
    • 学会等名
      「合田佐和子展 帰る途(みち)もつもりもない」高知県立美術館
    • 招待講演
  • [学会発表] 対談「阪田清子作品について:沖縄で制作し、沖縄から発信すること」2022

    • 著者名/発表者名
      金惠信、阪田清子
    • 学会等名
      「Sea Lane:島々への接続」展「国際シンポジウム:沖縄と東南アジア諸国における現代美術の現状」金沢21世紀美術館
    • 国際学会 / 招待講演
  • [学会発表] クロストーク 「彼方のあなたと会話するために」2022

    • 著者名/発表者名
      川浪千鶴、平川渚
    • 学会等名
      アートラボ 平川渚展「かなた/あなたとの会話」鹿児島県霧島アートの森
    • 招待講演

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公開日: 2023-12-25  

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