研究課題/領域番号 |
20K12509
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研究機関 | 京都先端科学大学 |
研究代表者 |
竹内 有子 京都先端科学大学, 人文学部, 准教授 (80613984)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | デザインのオリエンタリズム / 装飾文様 / 建築のポリクロミー / 多色石版印刷 |
研究実績の概要 |
本年度も引き続き、19世紀英国のデザイン改良運動においてオリエンタリズムの普及に貢献した、オーウェン・ジョーンズ(Owen Jones, 1809-74)を焦点化し、彼の東洋趣味の発生と展開について、色彩と印刷文化の面から調査した。前年度の調査では、彼の大陸への建築調査旅行・二つの水晶宮での展示の実践・『装飾の文法』への連続的展開を通じて、デザイン原理が形成されたことを考察した。今年度は、この根幹に色彩への関心があり、それが彼のオリエンタリズムの発祥であることを明らかにした。 彼のデザイン原理は、東方の諸芸術の彩色法に影響を受けている。従来、『装飾の文法』の37定理の内、なぜ21箇条もが色彩に割かれ、それにどのような意味があったかという問題に着目した研究は殆どない。彼の意図は、古代建築のポリクロミー(多彩装飾)を同時代に復元、その応用原理を打ち立てることにあった。先行研究は、このことと『装飾の文法』との相関性を看過している。さらに同書の装飾は、彼が東方で実見したように、平面性を強調すべく平塗りがなされ、色の濃淡や階調の写実的表現が殆どない。 実際、ジョーンズのクロモ石版の実践は、クリストファー・ドレッサーに影響を与えている。そこで、ジョーンズの多色石版印刷に加え、東京国立博物館資料館が所蔵する「考案圖」を調査し、『デザイン研究Studies in Design』(1874年)の試し刷り図版におけるジャポニスムを、色彩・印刷の文化交流の点から検討した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
コロナ流行により現地調査ができなかったため、課題の研究を縮小・変更して行った。
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今後の研究の推進方策 |
今年度も予定していた英国の現地調査による資料閲覧ができなかったため、国内で閲覧可能な資料に絞って、調査を行った。次年度は、英国での現地調査を行い、「造形におけるオリエンタリズムの影響と近代デザインとの関係性に関する調査」の対象を進める予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ流行により渡航ができなかったため
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