本研究で考案した椅子座面の湿度性能の評価方法なら、繊維・クッションなどの異なる素材が複数層をなす座面全体を対象に、荷重で素材内の空隙が押しつぶされた状態で評価できる。ISOやJISで規格化されている吸・透湿性能に関する方法にこれらを考慮したものはなく、実際の使用時に近い状態を評価できる新手法は意義深いと考えられる。 椅子デザイナーや座面素材の開発メーカーは、試作品をこの新手法で評価すれば、着席時の接触面湿度を予測できる。その湿度が20hPa未満であれば着席者はむれを感じないことから、経験や勘ではなく客観的なこの基準に依拠して、むれにくい椅子を設計・開発できるようになると期待される。
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