研究課題
身体運動認知のメカニズム解明は、社会性認知・感性情報処理の本質理解に結びつく重要な研究テーマである。近年の研究から、身体運動の鑑賞・観察経験の蓄積により、身体運動認知の熟達化・可塑的変化が生じる可能性が示唆されているが、その詳細を、身体運動認知に含まれる複数の情報処理段階にまたがり、行動・脳機能の双方を視野に入れ、体系的に検証した研究は存在しない。新体操の審判は、長期間にわたり、選手の身体運動の鑑賞・観察経験を蓄積していく。この点に着目し、本研究では、異なるレベル(国内・国際大会レベル)の新体操審判と一般人を対象に、心理物理学計測・注視点計測・非侵襲的脳機能計測を実施すし、鑑賞・観察経験がもたらす、身体運動認知の熟達化とその基盤となる脳機能の可塑的変化を、知覚・感性情報処理を含む複数の情報処理段階にまたがり解明する。既に新体操選手を対象とした身体組成計測。認知行動データ計測を実施し、現在データ計測を進めている。また、新たな研究の展開として、新体操に類似した性質を持つ採点競技である少林寺拳法演武の感性評価メカニズムに関する研究を開始した。レベルが異なる少林寺拳法選手の演武動作をモーションキャプチャを用いて3次元計測した。そのデータを基に、演武の熟達化に伴う身体動作の変化について新知見を得ている。今後は、同身体動作鑑賞中の脳機能活動・注視行動を、少林寺拳法未経験者と経験者との間で比較することで、熟達に伴う身体運動処理の脳科学的基盤を解明する。
3: やや遅れている
COVID-19の感染拡大により、人を対象とした神経生理学計測実験の実施が制約を受けた。また、研究期間中に研究代表者が所属機関を異動し、研究環境の再立ち上げに時間を取られたのに加え、研究体制を見直す必要が生じたため、当初予定に比べ遅延が生じた。
新たな展開として、新体操に加え、少林寺拳法演武の感性評価研究を開始した。収録済みの新体操関連データの分析と並行し、少林寺拳法演武の感性評価に関する研究を推進することで、より多面的な視座から、所期の目的を遂行する予定である。
COVID-19の感染拡大と、研究期間中に研究代表者が所属機関を異動したことに伴い、実験実施に遅延が生じた。このため、実験実施経費に充当する予定だった経費が未使用額として残ることになった。
すべて 2022
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (5件) (うち国際学会 1件、 招待講演 1件) 図書 (1件)
Scientific Reports
巻: 12 ページ: 18045
10.1038/s41598-022-21308-y
Applied Sciences
巻: 12(24) ページ: 13007
10.3390/app122413007