本研究では、野生・飼育ハクジラを対象にコドモ期の相互作用の記載を行った。野生ミナミハンドウイルカでは、初産の子は経産の子よりも生存率が低かった。また、母子間の遊泳距離には個体差があることや、母・息子間で社会的性行動をすることが示された。ハンドウイルカ母子の胸ビレで相手をこするラビングは、体表面の古い皮膚を落とす世話行動であることが明らかになった。イロワケイルカでは母による子の遊泳サポートは生後1か月間に頻繁に起き、それ以降は減少することがわかった。シャチ母娘間のラビングは、娘の成長に伴い送受の偏りが小さくなり、母も娘から利益を受ける関係に移行しつつあることが推察された。
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