研究実績の概要 |
信頼、愛着、コミュニケーションなどに関わることが報告されているオキシトシンは、一部女性ホルモン(estrogens)から制御されている。我々はこのメカニズムを生体ヒトで明らかにするため、生体内分子の挙動を定量的に測定できるPET技術を開発している。本年度は、女性ホルモン産生酵素であるaromataseのPETプローブであるcetrozoleの18F標識アナログ体について研究を進めた。 我々は、これまでにリード化合物である[11C]cetrozole、その11C標識アナログ体である[11C]iso-cetrozole, [11C]nitro-cetrozole, [11C]meta-cetrozole、および18F標識の[18F]iso-cetrozoleの評価を行ってきた。[11C]Cetrozole, [11C]iso-cetrozole, [18F]iso-cetrozoleのいずれも、脳内aromataseに特異的に結合し、結合能も高いことが示された。今年度は、[18F]cetrozoleについて、ラット脳組織を用いたbinding assayおよびオートラジオグラフィーと、アカゲザルの生体PET試験を行い、その脳内aromataseへの結合能を測定した。その結果、[18F]cetrozoleもまた脳内aromataseへ高い結合能を持っていることが示唆された。また、18F標識の化合物は11C標識の化合物に比して、代謝耐性が高いことが示された。 以上のことより、11C/18F標識cetrozole/iso-cetrozoleは、生体脳内aromataseを定量することに適したPETプローブであることが示された。
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