本研究はヒトの小腸から採取したSISの脱細胞化を検討した世界初の報告である。今回はブタSISの脱細胞化において最もよいとされるLuoの方法で行ったが、ヒトSISの脱細胞化には適用できないことが判明した。異種の組織や材料を再生医療の治療や足場素材として使用する場合、副作用や免疫応答が懸念され、ヒト由来の組織を用いることが望ましい。今回の結果は、ブタSISといった異種を対象とした強力な脱細胞化は、ヒト組織には不要であるとも考えられ、今後の研究では、Badylakの方法、Abrahamの方法を視野に入れ、ヒトのSISの脱細胞化方法を改良するためにさまざまなアプローチを検討する必要があると考えている。
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