本研究は、網羅的遺伝子解析を伴う個別化医療時代のゲノム医療における医師―患者・家族関係と倫理的課題を明らかにすることを目的に、文献検討による規範研究と実際のゲノム医療事例を用いた実証研究を行った。規範研究では、1) 網羅的解析に基づくゲノム医療時代の遺伝情報の取扱いと遺伝子例外主義の現在、2) 網羅的遺伝子解析の結果に対する医療者・研究者のフォローアップ責務、3) ゲノム医療の臨床応用が特に進んでいるがん医療を例に検討すべき倫理的課題の整理、4) 患者遺伝情報の血縁者・家系員への共有におけるジレンマに取り組んだ。実証研究では4)の論点について当院の遺伝カウンセリング症例を分析した。
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