研究課題
若手研究
本研究では、『源氏物語』の享受実態を平安期和歌を通して明らかにし、鎌倉初期に至る『源氏物語』享受史を再構築した。具体的には、従来看過されがちであった平安期の『源氏物語』を摂取する和歌を重要な享受資料として位置づけ、詳細に検討することにより、平安期の『源氏物語』享受の実態を明らかにした。それにより、平安期に『源氏物語』がどのように享受され、文化的影響力を持つに至ったか、それが中世の『源氏物語』享受といかに繋がっていくのかという通史的研究の基盤となる視座を提供した。
日本古典文学
本研究は、和歌によって『源氏物語』享受の黎明期の実相を解明することにより、平安期の享受が中世以降の享受へとどのように継承され変容していったのかという享受史を通観する上での架け橋となって、享受史全体をも再考させるものである。具体的には、平安・鎌倉期の『源氏物語』を享受する和歌を通して、当時流布していた本文、その本文に基づいた当時の解釈や享受作品の生成、異文が発生していく過程について明らかにした。