本研究の根底にあるのは人間が物語を通してどのように空間や場所との関係を築いていくのかという問題意識である。今回の研究では小説・映画によるカリフォルニアの表象というテーマを研究全体を貫く大きな問題としたうえで、個々のテクストについてそれぞれ具体的な問題を設定し、空間の主題に着目しなければ見えてこないような側面を引きだして分析することを心がけた。その過程において個別の作品についての研究に加えて物語と空間の関係性についての考察を進めると同時に、とりわけ日本の米文学研究においては周縁的な位置づけをされているように思われる西部・カリフォルニアの作品について考えることの重要性を確認できた。
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