研究課題/領域番号 |
20K13126
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研究機関 | 島根大学 |
研究代表者 |
篠村 恭子 島根大学, 学術研究院教育学系, 講師 (90806077)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 気付き / 変容 / 振り返り |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、小学校外国語授業における児童の振り返りシートに記述される気づきの実態を明らかにすることである。分析対象とする主要データは、小学校現場での外国語授業実践で児童が記述する振り返りシートの記述であるが、新型コロナウイルス感染症拡大による休講措置等の影響で当初予定していた小学校でのデータ収集が難しくなった。そのため、新たに別の小学校に調査協力を得、年間の振り返りシート記述の提供を得た。得られたデータを質的内容分析にて分析を行った結果、第3~6学年のいずれの学年においても、分析者が期待していた「ことばへの気づき」が非常に少ないことが明らかとなった。しかしながら、このパイロット調査では、分析対象データの数が非常に少ないことに加え、コロナ禍においてこれまでに行われてきたような通常の授業ができなかったことなどにより、収集することが出来たデータ自体にも不足が大きく、研究成果として公表するには難しいと判断したため、学会等での発表には至らず、あくまで次年度以降の調査・分析に向けてのパイロット調査の扱いとすることとした。 このパイロット調査から得られた示唆としては、教師の意識的な働きかけが無い場合、「ことばへの気づき」は生じにくい、または、生じたとしても授業の終末に記述する振り返りシートの記述内には残りにくいということである。本研究では、言葉について自覚的に捉えるメタ言語意識の変容を見取ることが目的であるが、同時に教育的効果として児童のメタ言語能力の向上を期待するものでもあるため、指導者の意識的な働きかけが必要であるということが言える。そのため、この結果に基づき、2021年度はデータ提供協力を得た授業者と分析者とが定期的に関わることにより、児童の「ことばへの気づき」自体を促しつつ、発達段階・学習段階によってどのように変容していくかを引き続き分析していくところである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
本研究では教育現場(小学校)での授業実践に基づく児童の振り返りシートの記述が主要データとなるが、新型コロナウイルス感染拡大に伴う緊急事態宣言による一斉休講、分散登校、オンライン学習等により、当初予定していた調査協力校でのデータ収集ができなくなった。そのため、新たに研究協力校を探し、昨年度1年間の授業実践に基づくデータ提供を得られることになったが、2020年度1年間の児童の学習ファイルが必要となるため、児童がファイルを使用しなくなる2021年度に入ってからデータ提供を得られることとなり、今年度4月に入ってから学習ファイルを借り受けることができた。現在は、データ入力作業に着手したところである。
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今後の研究の推進方策 |
現在、2020年度中に分析予定であった主要データの入力作業を行っているところである。5月中の入力と6月中の分析を予定しており、2020年度収集分のデータ分析と同時進行で、2021年度分のデータ入力と分析を行い今年度中に2年分のデータを比較・分析する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナ禍において、情報収集等のために参加予定であった学会が中止やオンライン開催となり旅費の使用が無かったことに加え、データ収集に遅れが生じたため2020年度中に行う予定であったデータ入力に際しての人件費を使用しなかった。 2021年度に入り遅れていた昨年度分のデータの入力作業に着手したため、今年度中に、2020年度と2021年度分のデータ入力作業にかかる人件費を使用する予定である。
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