本研究では、戦間期日本の対外膨張政策を朝鮮銀行や満洲中央銀行といった植民地/占領地銀行の視点から再討し、政軍関係から理解される帝国の拡大メカニズムに新たな光をあてることをめざした。この見通しに基づき、研究成果として以下の知見を得ることができた。第一に、満洲中央銀行に集った高橋是清系の国際主義者の重要性の発見である。第二に、当初除外した政軍関係でも、国際金融の評価をめぐる天津軍と関東軍の無視できない政策志向の違いを明らかにすることができた。第三に、やはり当初重視していなかった横浜正金銀行についても一次史料から研究を進め、そのグローバル戦略の中で大陸政策の役割を今後掘り下げるべきという展望を得た。
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