研究課題/領域番号 |
20K13275
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研究機関 | 特定非営利活動法人社会理論・動態研究所 |
研究代表者 |
宮内 洋平 特定非営利活動法人社会理論・動態研究所, 研究部, 研究員 (40841391)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 環境人文学 / 港湾都市 / プラネタリー・アーバニゼーション / トランスカラー・ポリティクス / エンクレーブ |
研究実績の概要 |
本年度は複数の国内外の都市研究者と定期的なオンライン研究会を通して研究交流を実施し、最先端の都市理論や都市研究の最新動向を学び、本研究の理論的基盤の構築をすすめることができた。具体的にはルフェーブルの「空間の生産」論の現代的意義、プラネタリー・アーバニゼーション論、都市のデジタル労働者、スマート都市、投機対象となる都市空間、テック産業による都市再開発、アフリカの都市マスタープランの最新動向、特定領域を越えるアクターによる都市形成の政治(Transcalar politics, トランスカラー・ポリティクス)といった諸理論・諸研究の整理である。 新型コロナウイルス感染症の蔓延により南アフリカのヨハネスブルク市とリチャーズベイ市での現地調査は実施できなかったが、港湾都市リチャーズベイ市の建設をめぐる歴史的・社会科学的な研究を文献調査によって進めることが出来た。アパルトヘイト政権は人種隔離的な都市空間を持つ産業都市を各地に配置し、アパルトヘイト資本主義の成長促進を行った。リチャーズベイはアパルトヘイト期に石炭輸出のために自然保護地区を開削して新設した港湾建設にともなって誕生した都市である。さまざまなアクターが同地の開発に関わり、同地の統治が進められた。よって、同港湾都市の開発は「飛び地(エンクレーブ)」をめぐるトランスカラー・ポリティクス(Transcalar politics)の一例であると考えられる。 なお、本年度は本研究の「社会的自然」の概念を踏まえた論考、ヨハネスブルクの都市空間に生ずる新たなアパルトヘイトの紹介、2021年7月に起きた南アフリカ騒乱の背景に関するレポートを刊行することができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナウイルス感染症蔓延のため、海外現地調査が実施できなかった。一方でオンラインで国内外の研究者との交流と研究会をすすめ、出版物の刊行もできた。
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今後の研究の推進方策 |
新型コロナウイルス感染症が収束しだい現地調査を実施をする。本年度は現地調査が実施できなかったが、一次文献資料、二次文献資料の整理をすすめており、複数の論文および書籍の章の執筆準備にとりかかる予定である。現地調査が可能になりしだい参与観察を開始する準備をすすめている。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス感染症の蔓延のため予定していた海外調査の実施が出来なかったため次年度使用額が発生した。次年度に海外調査費として使用する予定である。
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