研究課題/領域番号 |
20K13275
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研究機関 | 特定非営利活動法人社会理論・動態研究所 |
研究代表者 |
宮内 洋平 特定非営利活動法人社会理論・動態研究所, 研究部, 研究員 (40841391)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | 政治としてのアーバン・ガーデニング / 都市自然研究 / マルチスピーシーズ都市 / ネイチャー・アート / 在来種 |
研究実績の概要 |
本年度は南アフリカのヨハネスブルク市およびケープタウン市で1ヶ月間の現地調査を実施した。今回の調査は誰のために緑が保全されるのかをグリーンシティの批評的環境正義と都市自然研究の観点から明らかにしようと試みた。ヴィトウォータースラント大学の都市研究者との意見交換を通して、都市公園を含む都市自然に関する研究の最新動向に関して助言を受けた。今回の現地調査ではとくにアーバン・ガーデニングの実践者やネイチャー・アートを追求するアーティストに焦点をあてて聞き取り調査を実施した。アパルトヘイト体制下で黒人の農業実践は規制されたため、白人大農園主による工業的大農業が南アフリカのスタンダードな農業となり現在に至る。近年、大規模農業への異議申し立てやオルタナティブな農業として有機栽培による小規模なガーデニングが始まっており、大都市ヨハネスブルクでもアーバン・ガーデニングの挑戦がみられる。今回の調査では新興農園、コミュニティ農園、クリエティブ施設内の菜園、アートスタジオ、屋上、空き地などで実施されている8つのプロジェクトを主催している16人から話を聞くことができた。これらの実践は、土地の不均等分配を促してきた国家と市場、水やエネルギーを浪費しモノカルチャーを進めてきた近代農業、食品流通の大企業支配などに抗し、在来種の価値を見出し、土をつくり、混作をしながら、マルチスピーシーズな世界に人間を再び埋め込むための政治と捉えることができる。 本年度は共同執筆者として、ヨハネスブルクのグリーンシティの批評的環境正義を内容とする章を担当する書籍の原稿を出版社に提出し、校正を進めることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
新型コロナウイルス感染症蔓延のため海外調査が滞っていたが、本年度は現地調査を開始することができた。本年度の調査は順調にすすみ有益な資料を収集することができた。
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今後の研究の推進方策 |
本年度は開始が遅れていた現地調査を実施することができた。次年度に追加の現地調査を実施することでさらなる資料の収集につとめたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス感染症蔓延により海外調査が実施できなかったため。
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