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2022 年度 実施状況報告書

法をめぐる多種民族誌ー現代インドの自然物への法人格付与を事例として

研究課題

研究課題/領域番号 20K13282
研究機関広島大学

研究代表者

中空 萌  広島大学, 人間社会科学研究科(国), 准教授 (60790706)

研究期間 (年度) 2020-04-01 – 2024-03-31
キーワード法人格 / 自然の権利 / 多種民族誌 / 法人類学 / 環境法
研究実績の概要

本研究の目的は、ガンジス川など自然の存在物に法的な人格を認める、現代インドの一連の裁判と関連する国家プロジェクトへの法人類学的な調査を通じて、 自然環境と社会の法がいかに相互構成しているのかを明らかにすることである。
今年度は奄美大島において自然の権利訴訟をめぐる裁判(アマミノクロウサギ訴訟)について原告団や弁護士の方々にインタビューを行うと同時に、現在進行中の嘉徳浜の護岸工事をめぐる訴訟と自然の権利訴訟の関係について、現地で参与観察調査を行った。その結果、自然の時間、法の時間、インフラの時間という複数の「時間」の翻訳という、自然の法則と人間の法の関係を考える上で重要な理論的視点を得ることができた。
さらにこれまでの数年間の理論的・経験的研究をもとに、East Asian Science, Technology, and Society: An International Journalに論文を掲載したほか、Routledgeから共著でLife, Illness, and Death in Contemporary South Asia: Living through the Age of Hope and Precariousnessを出版した。また日本法社会学会、創生法学研究会、「自然の権利の理論と制度」研究会などで発表を行い、法学と文化人類学の対話について問題提起を行った。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

自然の権利をめぐってインドでフィールドワークを行うことができなかったが、奄美大島で調査を行い、自然の法則と人間の法の関係をめぐる新たな問いと視点を得ることができた。

今後の研究の推進方策

新型コロナウィルス感染症をめぐる状況も落ち着きを見せているため、次年度以降は奄美大島での調査を継続すると同時に、インドでのフィールドワークを再開する予定である。自然の権利をめぐるダイナミックな多地点的調査を通して、自然の法則と人間の法の関係について、新たな視点を見出したい。

次年度使用額が生じた理由

新型コロナウィルス感染症の影響により、インドでの現地調査が実施できなかった。次年度にはインドでのフィールドワークも再開し、また10月と11月に行われる国際学会にも参加予定であるため、今年度の未使用額を旅費として使用する予定である。

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2023 2022

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (3件) (うち招待講演 2件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] Database as an Experiment: Parataxonomy of Medicinal Plants as Intellectual Property in India2023

    • 著者名/発表者名
      Moe Nakazora
    • 雑誌名

      East Asian Science, Technology and Society: An International Journal

      巻: 17 ページ: 50-70

    • DOI

      10.1080/18752160.2022.2075664

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] 法の生成の人類学:科学技術社会論の視点から2023

    • 著者名/発表者名
      中空 萌
    • 学会等名
      創生法学研究会
    • 招待講演
  • [学会発表] インドにおける「自然の権利」:文化人類学/法の生成の民族誌の視点から2023

    • 著者名/発表者名
      中空 萌
    • 学会等名
      「自然の権利の理論と制度」研究会
    • 招待講演
  • [学会発表] 翻訳される法:アクターネットワーク理論の観点から2022

    • 著者名/発表者名
      中空 萌
    • 学会等名
      日本法社会学会2022年度学術大会
  • [図書] Life, Illness, and Death in Contemporary South Asia: Living through the Age of Hope and Precariousness (担当:4. Making and Un-making of a New Biosocial Subject: Folk Ayurvedic Knowledge and Intellectual Property Rights in Contemporary India)2023

    • 著者名/発表者名
      Moe Nakazora
    • 総ページ数
      264
    • 出版者
      Routledge
    • ISBN
      1032327448

URL: 

公開日: 2023-12-25  

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