行政法学の重要な課題として、組織規範の法としての特質を解明することが挙げられる。本研究は、日本法において組織規範の特質として挙げられる、「組織規範は裁判規範性を持たない」、「組織規範は自然人の行為を行政主体へと帰属させる」という2つの特質が、組織規範に結合するか、結合するとしてそれはいかなる理論構成においてか、結合することの帰結はいかなるものか、を検討することで、前記の課題の遂行を目指すものである。検討の結果として、これら2つの性質は組織規範に結合させ得ること、しかしそれでもこれら2つの性質は組織規範に特有のもの(特質)ではない可能性があること、を明らかにした。
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