民営化を支える法制度に組み込まれる規制を基礎づける理論枠組みとして、ドイツ流の保障国家論が有力に提唱されているが、それに対して、本研究は、アメリカのミシガン州フリント市で発生した水道水汚染事件を手がかりとして、民営化後の水道サービスの適正性確保における市民社会による「規制」の意義とその機能条件を明らかにした。 こうした新たな「規制」アプローチへの注目は、「規制」の多元的な把握を可能にするとともに、民営化された水道事業に対して現に行われている市民による監視や批判を理論的に位置付けることも可能にし、この点に本研究の学術的・社会的意義を見出すことができる。
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