研究課題/領域番号 |
20K13316
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
田代 滉貴 岡山大学, 社会文化科学研究科, 講師 (60825686)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 中央競技団体 / ガバナンスコード |
研究実績の概要 |
研究一年目にあたる今年度は、「スポーツ振興政策の中核的な役割を担う民間団体であるスポーツ団体の活動をどのように規律すべきか」という本研究課題に取り組むための準備作業として、日本におけるスポーツ団体の現状分析を行った。具体的には、各競技を国内レベルで統括する団体である「中央競技団体」を主たる検討対象とし、(1)スポーツ団体とはそもそもどのような団体か、(2)国家はスポーツ団体といかなる形で関与しているのか、(3)昨今問題となっている「スポーツ団体のガバナンス」をめぐる問題についてどのような対策が講じられているのか、という三つの事項を明らかにした。 (1)については、「中央競技団体と他のスポーツ団体の関係」、「団体と選手の関係」という二つの観点から検討を進めた。その結果、前者については、グローバルレベルでの団体(例:IOC)を頂点としたスポーツ団体間の階層構造の具体的態様を明らかにした。後者については、中央競技団体と選手はあくまで「契約」を通して法的関係を結ぶ一方、例えば団体による選手選考や懲戒処分は(あくまで事実上であれ)一方的な性格を有していることを示した。 (2)については、日本におけるスポーツ団体の発展過程を振り返り、団体と国家のかかわり方の変遷を分析した。また、団体と国家の関係の現状分析として、スポーツ団体に対する公的助成制度の全体像を明らかにした。 (3)については、2019年にスポーツ庁が策定した「スポーツ団体ガバナンスコード」の具体的内容を主たる検討対象とした。その際、各団体がガバナンスコードを遵守するための実効性確保策として、(2)で述べた公的助成の仕組みの活用が検討されていることに特に着目し、分析を進めた。 以上の研究成果の一部については、論文としてまとめ、公表した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
新型コロナウイルスの影響により、当初予定していた学会・研究会への参加が一部困難であったものの、「日本のスポーツ団体のガバナンス問題」について必要な文献を分析し、その成果を論文という形で公表することができた。以上のことから、研究はおおむね順調に進展しているものと考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
2021年度は、以下の事項について研究を行う予定である。 (1)日本における「スポーツ団体のガバナンス」をめぐる問題について、引き続き研究を進める。とりわけ、他のガバナンスコード(例:コーポレートガバナンスコード)との異同を分析すること、民事法における「団体のガバナンス」をめぐる議論の検討を行うこと、の二点を予定している。 (2)関連するドイツの議論について、その内容を分析・検討する。とりわけ、公的主体の活動の規律のあり方を組織法・作用法横断的に検討する議論(民主的正統化論)の知見を、スポーツ団体のガバナンス問題を論じるにあたって応用できるかについて検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルスの影響で当初参加を予定していた学会・研究会が軒並み中止ないしオンライン開催となったため、旅費として充てる予定であった経費で研究課題遂行上必要となる和書・洋書を購入した結果、若干の次年度使用額が発生した。かかる次年度使用額については、次年度の計画上必要となる図書の購入に充てるべく、物品費として計上する予定である。
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