最終年度にあたる2024年度は、これまでの研究の総括として、スポーツ団体の活動をどのような観点から、如何なる態様で規律すべきかについて検討を行った。 具体的には第一に、「公共性」の高い任務を担う民間団体を対象として、当該団体の活動がそもそも如何なる観点から規律されるべきか、判例や学説上の議論を手がかりとしながら検討を行った。その結果、行政法学で近年用いられてきた「(民主的)正統性」以外にも、例えば基本権や、各法分野で独自に形成されてきた制度設計上の準則等、様々な要素が団体の規律のあり方を論じるための視座となりうることを明らかにした。そのうえで、特にスポーツ団体については、国内・海外のスポーツ仲裁等で形成されてきた法理論をいま一度整理し体系化する必要があることを指摘した。 第二に、昨年度に引き続き、団体がその構成員に対して処分等を行う場合と、構成員以外の者に対して何らかの決定を行う場合のそれぞれについて、当該活動の規律のあり方を考察した。その際、諸外国における議論(例えばドイツの「自律的正統化」をめぐる議論)も適宜参照した。加えて、こうしたスポーツ団体の制度設計を国家がどこまで法律によって行うべきか(逆に言えば、どこからをスポーツ団体の内部規律に委ねることが許されるか)、という点についても、検討を試みた。 以上の研究成果については、その一部を論文としてまとめ、公表した。またそれ以外の部分についても、論文として順次公表する予定である。
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