今後の研究の推進方策 |
2021年度に得られた知見を確保しつつ、2022年度においては、1950年代中葉における三つの国際法・国際機構法研究の潮流に照準したい。第一は、横田喜三郎と尾高朝雄の両氏がカーネギー国際平和財団の依頼を受け1953年2月に始めた「国際機構とくに国際連合に対する日本の国策と世論の調査」とこれに結集した国際法学者らによる委託研究の成果物“Report on the National Policy and Public Attitude of Japan toward International Organizations especially the United Nations”, prepared by International Law Association of Japan, Tokyo, April 30, 1954.である(同委託研究の成果の一部を翻訳収録した著作物として横田喜三郎・尾高朝雄『国際連合と日本』(有斐閣、1956年)がある)。第二は前者の委託研究に参画しなかった田畑茂二郎とその田畑による体系書『国際法 上・下巻』(有信堂、1954年-1955年)が提示した普遍主義的な戦争違法化パラダイムの意義である。第三に、前二者を批判した当該時期における山手による研究実践(『立命館法学』掲載の「憲法第九条と国際警察軍」(1954年)及び「田畑茂二郎「国際法 下巻」」(1955年))の地歩を検討し、その再定位を試みたい。
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