課徴金は制裁としての性格を有するというべきであるが、刑事罰と併科されても二重処罰禁止には抵触せず、比例原則違反の問題が生じるにすぎない。課徴金にも一定の責任主義は妥当するというべきであり、対象者に落ち度が全くない場合(対象者が無過失を立証した場合)にまで、課徴金を課すことはできないというべきである。法人に課された課徴金の役員等に対する損害賠償請求の可否については、法人の損益の実質的な帰属者である株主等の利害関係やインセンティブを踏まえて立法により解決することが望ましい。米国の民事制裁金制度やわが国の景品表示法を参考に、課徴金制度に被害者救済の観点を取り入れることを検討すべきである。
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