本研究は「国学政治思想史の再構築―本居宣長以前/以後―」と題して、本居宣長とその前後の国学者たちの思想と実践の諸特質を究明するものである。近年、主要な研究対象が明治以降に移ったことも相俟って、近世思想史研究では西洋思想を接受する上でも重要な役割を果たした漢文脈に関心が集中してきた。その結果、多くの新資料の発掘や隣接諸学の進展を傍目に、国学政治思想の研究は沈滞してきたといってよい。この研究では、本居宣長を中心に、その先蹤および後継の必ずしも宣長学に還元され得ない個性もふまえながら、特に隣接分野における最新の研究成果を政治学に還元することに意を留めて、通史像の再構築を試みた。
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