戦争は始めるよりも終わらせる方が難しいと言われるのは、なぜか。この点につき、本研究代表者は「出口戦略のディレンマ」という概念を提起してきた。介入の正当化を容易にする「介入目的の多義性」は、何をもって目的達成といえるかを判断する基準を複数生じさせることから、撤退の正当化を困難にするという論理である。では、介入国は、「出口戦略のディレンマ」を抱えているにもかかわらず、なぜ、そもそも介入を決断するのだろうか。この問いに対し、「介入時には対内正当化がより重要であるが、撤退時には対外正当化がより重要となるため、『出口戦略のディレンマ』を抱えることになる」という仮説を立て、事例分析によって検証した。
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