本研究では,EUにおける株式市場規制,すなわち投資サービス指令(ISD)とそれを改正した金融商品市場指令(MiFID)を対象に,特に株式取引の内部化と取引前の透明性に関する規制の変遷をについて検討した。本研究は,(1)EUの株式市場での注文を巡って大手金融機関と証券取引所とが競争しあうようになったこと,(2)両者が株式市場規制,とりわけ「集中」と「透明性」を巡って異なる選好を持つようになったこと,そして,(3)公的アクターと構築した「共生関係」を通して,両者が構造的パワーを行使した結果,株式市場規制の転換が生じたことを明らかにした。
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