経済学の主な役割の一つは、市場の働きについての理解を深め、様々な財・サービスが適切に取引されるための指針を提供することである。本研究では、「非分割財」と呼ばれる財の市場について理論的に分析をした。ここで「非分割財」とは、0単位か1単位のどちらかだけの量で取引される財のことを指す。例えば、労働市場において労働者は通常一つの企業のみに勤めるため、企業の雇用枠は非分割財の一種である。非分割財は、数学的には離散的に取引される財として記述される。離散数学の手法を非分割財市場の分析に応用することで、均衡(=需給が一致した状態)の構造について新たな定理を証明した。
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