研究課題/領域番号 |
20K13574
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研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
佐野 宏樹 立命館大学, 経営学部, 准教授 (70779628)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | サービス・オペレーション / サービス設計 / 行動科学 / 社会的選好 |
研究実績の概要 |
令和2年度は本研究課題を遂行するにあたって基礎となる先行研究の検討を中心に進めた。顧客サービスの設計においては、サービス・モデルをシステムとしてとらえて、システムを構成する要素間の関係に論理的整合性を持たせることが重要である。また、サービス提供者の個人的な資質に依存する必要のないサービス・モデルが設計されることが望ましい。さらに、サービス・モデルが効果的に機能するために形成されるべき企業文化の特徴や、そのような企業文化が形成されるための手段についても、慎重に検討する必要がある。こういったサービス設計に関する一般的な見識を踏まえて、本研究課題においては、サービス・モデルの構成要素とサービス提供者あるいは顧客の心理的状態との関係についてさらに理解を深めるべきであることを確認した。加えて、さらにサービス・オペレーション分野の既存研究を検討したところ、新しい技術の導入によるサービスの変革に関する問題、新しい技術やサービスに対する顧客の態度に関する問題、責任の所在が不明確な状況におけるサービスの失敗に関する問題等が、今後特に検討されるべき研究課題として考えられることが確認された。 上記の先行研究の検討以外には、観光地のサービスシステムに関する研究を進めた。Journal of Responsible Tourism Managementに掲載された論文では、交通案内アプリによって収集されたデータをもとに、大阪市を訪れた外国人観光客の国籍別の行動傾向の違いについて論じた。Wakayama Tourism Reviewに掲載された論文では、スマート・ツーリズムの概念をサービス・ドミナント・ロジックの枠組みで理解することの重要性を強調した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究課題の進捗がやや遅れている理由としては、令和2年度においてCOVID-19の感染拡大の影響により、教育業務の負担が大幅に増加したことが挙げられる。令和3年度は新しい教育形態への順応が進んできたこともあり、本研究課題の進捗状況を改善することができると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
令和3年度はサービス提供者や顧客の心理的状態について分析するためのデータを収集し、サービス・モデルの構成要素とサービス提供者あるいは顧客の心理的状態との関係について論じる1つの研究論文の完成を目指す。また、COVID-19の感染拡大の状況を注視しながら、サービス・ビジネスの実態について知るためのフィールド調査を行うことも検討したいと考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
令和2年度はCOVID-19の感染拡大の影響により、当初予定されていた国外に渡って国際学会で研究発表を行うことができなかった。そのため、国外出張費用の不使用分が次年度使用額として残ることとなった。令和3年度も国外出張を行えるのか不透明であるため、令和2年度の次年度使用額はサービス提供者やサービス顧客の心理的状態に関するデータの収集等のために有効に使用したいと考えている。
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