研究課題/領域番号 |
20K13574
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研究機関 | 立命館大学 |
研究代表者 |
佐野 宏樹 立命館大学, 経営学部, 准教授 (70779628)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | サービスオペレーション / サービス設計 / 行動科学 / 知覚リスク / サービスシステム |
研究実績の概要 |
令和3年度は交通のサービスシステムについて、サービスモデルの転換が検討されている国内事例の調査を行った。近年、MaaS(Mobility as a Service)という名称のもとに、地域の移動課題を解決するための取り組みが各地で実施されている。MaaSには、複数の手段による出発地から到着地までの移動を一つのサービスとしてとらえて、関係主体の連携により移動サービスの質を向上させるという意味が込められている。今年度の調査では、自家用車の保有率が高い地域において自家用車を手放せるほどに利便性の高いMaaSを事業化できている事例は観察されなかったが、自動運転やAIオンデマンド交通などに関わる技術の活用に着目し、過疎地域でも実証実験によって段階的にMaaSに向けての取り組みが行われていることを確認した。また、こういった技術を活用した新たなサービスに対する顧客の態度について、今後研究課題として検討されるべきであることが確認された。特に、サービスの失敗の発生や、サービスユーザーのリスクの知覚などに注目することが重要であると考えられる。 上記の調査以外には、実店舗を持つ小売業者による宅配サービスの研究と、観光地のサービスシステムに関する研究を進めた。宅配サービスの研究については、実店舗販売と宅配サービスを同時に行う小売業者のビジネスをミクロ経済学的なモデルで表し、小売業者の価格決定や消費者余剰などについて考察した。観光地のサービスシステムに関する研究については、観光客の位置情報データをもとにした市場細分化の方法について検討した。この検討の内容ををまとめた論文はWakayama Tourism Reviewに掲載された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究課題の進捗がやや遅れている理由としては、前年度に続いて令和3年度においても教育業務の負担が大幅に増加したことが挙げられる。令和4年度は令和2年度と令和3年度における経験を活用し、本研究課題の進捗状況を改善することができると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
令和4年度はサービス提供者の心理的状態に関して、特にCOVID-19の影響を分析するためのデータを収集し、サービス提供者の職務態度について論じる1つの研究論文の完成を目指す。また、サービスビジネスの実態について知るためのフィールド調査を行うことも積極的に検討したいと考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
令和3年度はCOVID-19の感染拡大の影響により、当初予定されていた国外に渡って国際学会で研究発表を行うことができなかった。そのため、国外出張費用の不使用分が次年度使用額として残ることとなった。また、データの収集を次年度以降に行うことに変更したため、データの収集のための費用の不使用分も次年度使用額として残ることとなった。令和4年度においては、令和3年度の次年度使用額をサービス提供者やサービス顧客の心理的状態のデータの収集のために有効に活用したいと考えている。また、渡航制限等の状況によるが機会を得られれば国外に渡って国際学会で研究発表を行うことも検討したいと考えている。
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