戦後、主婦化が進行する日本において、結婚・出産後も継続的に就労してきた女性教員を事例に、キャリア継続と再生産労働の関係性を検討した点にある。教育とジェンダー研究で蓄積されてきた女性教師の学校内での周辺化と、国際社会学において、再生産領域の国際性別分業という視点から着目されてきた家事・ケア労働者の問題を接合させ、日本社会におけるジェンダー構造を分析しようと試みた。今後、社会政策が内包するジェンダー規範も視野に入れた分析を進めることによって、日本社会のジェンダー秩序を捉える研究へと発展させていく予定である。女性の労働力化という日本社会が抱える課題にも貢献できる。
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