研究課題/領域番号 |
20K13721
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
古賀 千絵 千葉大学, 予防医学センター, 特任研究員 (80867234)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 高齢者虐待予防 / まちづくり / うつ / ロジックモデル |
研究実績の概要 |
本年においては、研究計画書にあるフェーズ①データ整備とフェーズ②のエビデンスの生成を同時に行う運びとなった。まずフェーズ①に関して、複数ある既存のデータを申請を完了、取得した。現在はデータの確認、整備作業を行っている。フェーズ②に関しては筆頭論文1本、共著論文2本を出版した。筆頭論文では、”Elder abuse and depressive symptoms: Which is cause and effect? Bidirectional longitudinal studies”と題し、高齢者虐待とうつの関係性を縦断研究で検証した世界で初めての論文となった。このことから、うつを予防することで虐待を予防できる可能性が示唆された。2つの共著論文では、うつを予防するまちづくりに関するエビデンスを示すことができた。What Types of Greenspaces Are Associated with Depression in Urban and Rural Older Adults? A Multilevel Cross-Sectional Study from JAGESと題した論文では、都市部において緑が多い街に住んでいる高齢者はうつのリスクが低いことが示された。さらに、Association between proximity of the elementary school and depression in Japanese older adults: A cross-sectional study from the JAGES 2016 surveyと題した論文では、小学校の近くに住んでる高齢者でうつのリスクが低い可能性が示された。どちらも高齢者の住む環境とうつの関連を検証したものであった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
フェーズ①データ整備とフェーズ②のエビデンス生成もおおむね順調に進んでいる。高齢者虐待を予防するための社会要因として、論文を3本発表することができた。また学会発表も2回、国内の公衆衛生学会と国外の欧州公衆衛生学会で行うことができた。
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今後の研究の推進方策 |
今後の計画として、フェーズ③にある「チェックリストの作成」を「ロジックモデルの作成」へ変更する必要が考えられた。虐待予防の知見をチェックリストとして記載することのデメリットとして、エビデンスの階層構造が分かりにくいということがある。しかしロジックモデルを活用すれば、虐待が何と、どのように関連しているのかが視覚的に分かり、さらにエビデンスの階層構造も表現することができる。チェックリストの機能を残したまま、エビデンスの構造も理解することができるため、ロジックモデルの作成を目指すこととする。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度は、新型コロナウイルスの影響で予定していた国際学会への参加がオンラインでの参加になった。そのため、計上していた旅費や滞在費が差額としてある。翌年度分として請求した助成金と合わせ、さらなる論文の投稿費に使用する予定である。また共著者として参加した関連論文の投稿費も必要である場合は計上することとする。
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