研究課題/領域番号 |
20K13853
|
研究機関 | 玉川大学 |
研究代表者 |
宮本 英征 玉川大学, 教育学部, 准教授 (10825293)
|
研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
キーワード | 問いの構築学習 / 探究学習 / 駆動性 ( driving) / 言説分析 / 歴史総合 / 世界史探究 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、ラーニング・プログレッションズ(LPs)研究を歴史教育に応用することで、歴史授業における知識・資質の段階的複線的な探究過程をモデル化し、学習論を視点とする新しい歴史探究学習を提起することにある。そのため、初年度は知識・資質を段階的向上的に探究する歴史単元を開発・実践し、次年度は生徒の複線的な探究過程を調査する。そして、最終年度は歴史単元における探究過程をモデル化し、探究構造として提示するように計画した。そこで、令和3年度には、ラーニング・プログレッションズ研究を踏まえて開発した歴史総合単元「権利について問いをつくろう」、世界史探究単元「自由について問いをつくろう」の授業構成原理の精緻化と研究協力者による実践と生徒への効果性の調査を行った。その結果、次のように研究を遂行することができた。 ①歴史教育における新しい探究学習の提示。歴史教育における探究学習の現状と改革の方向性を解明し、問いの構築学習が社会認識形成と市民的資質育成を保証する新しい探究学習であるいことを示した。②探究における「駆動性」への着目。LPs研究における「駆動性」の論理を追究し、教師による「問い(駆動問題)」だけではなく,今を生きる生徒の生活や社会に結びつく「教材」、自他による「評価活動」によっても発揮されることを明らかにした。③言説分析に基づく新しい評価方法の提示。「問いの思考」「問いの主体」「問いの対象」という視点で、生徒一人一人の学びの道筋を明らかにし、歴史教育が子供達にとって、真の学びを見出せるへと変革できることを示した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナ感染症の流行のため、学会や授業研究会に参加することが十分にできなかった。そのため、研究成果を報告し、研究者・実践者からの多様な意見を反映することができなかった。また、高等学校における探究学習についての調査の機会や開発した授業を実践し検討する機会が不足した。このため、事例的研究に留まった。
|
今後の研究の推進方策 |
①6月の日本カリキュラム学会や10月の全国社会科教育学会、11月の日本社会科教育学会などに参加し、調査研究を進めると共に、2月の社会系教科教育学会で研究成果を発表する。②10月や12月に行われる公開授業研究会に参加し、研究の実践性を高める。③12月までに、問いの構築学習を研究協力者の高等学校で実践し、研究データを蓄積する。そして、授業の効果を検証する。④12月以降、単元開発・授業実践を踏まえ、歴史教育における探究の論理を解明しモデル化する。
|
次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用が生じた理由は 新型コロナ感染症の感染対策のため、学会や授業研究会などで調査研究や研究成果の公開を十分に行うことができなかったためである。使用計画として、学会への参加、公開授業研究会への参加、授業実践のための高等学校への訪問、授業教材開発研究のための博物館への訪問などの旅費として使用することを予定している。
|