研究課題
若手研究
本研究の目的は東アジア社会における社会的格差の生成プロセスの差異に関して、教育訓練システムのマクロ的な特徴から明らかにすることである。特に、東アジア社会において一般的に大きいとされるジェンダー格差と、高学歴化・不安定労働の拡大の関連に焦点をあてた。(1)教育訓練システムの視点から見た日本の特徴の記述、(2)日本の学校から職業への移行の変化についての分析、(3)日本・台湾における職業的地位の時系列分析という3つの個別課題を通じて、東アジア社会を技能形成レジームの観点から理論的・実証的に考察した。
教育社会学
本研究の貢献としては、東アジア社会における技能形成の問題について、より広い視点から捉えることを可能にしたことが挙げられる。これまでの教育社会学の分野では学校から就職への移行過程に注目し、日本的雇用システム研究の分野では企業内でのOJTに注目する傾向があった。教育システムとしてどの程度に職業訓練を重視しているかという視点を入れたことで両者が架橋され、さらにライフチャンスの格差についてもより論じやすくなったと考えられる。