奨学金は教育機会の均等を目指すものであることから,相対的に低所得の学生を対象とするのは当然であるが,どの程度の低所得層に対象を限定するか,学生の反応,またどのような効果をもつかは,いずれも重要な研究課題であるにもかかわらず明らかになっていない。本研究は低所得層学生に着目して,比較的視点で経済支援の問題を捉えることで,経済支援の効果研究の蓄積に貢献することができる。また,日中の比較可能な調査データセットを構築することによって,経済支援の在り方に係る議論の展開に基礎的な資料を提供し,日本の高等教育における経済支援の効果的な活用に示唆を与えることができる。
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