聞き取り調査の逐語禄から協力者の職能開発に関与する環境要因と個人要因を探索、抽出し、コード付けを行った。外国人若手研究者の職能開発を促進・阻害する環境と個人要因をクロス集計し、職能開発経験の傾向と特異な事例を同定した。その際に、環境と個人要因(例:母語・性別・専門分 野等)の関連パターンにも注目した。一方、質問紙調査の結果は、聞き取り調査による個別のケース例をサポート、または批評的に検討するために活用し、質、量の側面で外国人若手研究者の職能開発経験の特徴を明らかにした。研究の進捗やパターンモデルを国内外の学会にて適宜共有し、異なる大学や分野での応用可能性(ecological validity)の視点から批評を受け、信頼性、汎用性の高いパターンモデルを模索した。その他の関係者に向けては、論文のプレプリントや学会スライドを本学のリポジトリや申請者のウェブサイトにて共有している。申請書提出時に計画していた論文のオープンアクセスは、研究費が申請通り支給されなかったため(計画から30%程度減)、一部の論文にとどまっている。多様な人材が活躍する大学実現のため、セミナーを通して研究知見を公開セミナーなどで深化させた。 本年度は国際誌への論文公開2本、書籍分担1本、国内外の学会・研究会での発表4件を通して、成果を公開した。本研究課題を通しては、6本の国際誌への論文出版、8件の国内外の学会・研究会での発表を行った。一連の研究成果を通して、日本の大学で勤務する外国人若手研究者にとって、同僚とのやり取りが、彼らのウェルビーイング、機関所属意識、能力開発の促進に重要な役割を果たすことを実証的データをもって示すことができた。
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