研究課題/領域番号 |
20K14046
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
武井 真純 (青木真純) 筑波大学, 人間系, 客員研究員 (40735479)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | ダイナミック・アセスメント / 認知教育 / 相互作用的やりとり / 生体反応 |
研究実績の概要 |
ダイナミック・アセスメント(dynamic assessment;以下DA)は,教師が子供と一緒に課題に従事するような相互作用的な関わりの中で,子供の理解度をその都度アセスメントし,適切なヒント(足場かけ)を提供することによって,子供自身が解決方法を見つけていく教育的アプローチのことである。これまで,知的障害や発達障害のある子供を対象に,実践研究の中で成果を上げてきたものの,プロンプトの量や質,そのタイミングといった教師の技能に依存する部分が大きく,科学的なエビデンスが十分ではないことが指摘されてきた。そのため、本研究では、生体反応のデータを通して、そのエビデンスを構築することが本研究の目的である。 2021年度は、知的障害のある小学5年生の児童を対象に,それぞれ個別に非言語課題を継続的に指導の一部として実施した結果を報告した。具体的には,課題実施中は,対象児の回答に対して,正誤は伝えず,選択肢を選んだ理由について言語化するよう求めた。あわせて,課題実施の前後には,使用方略について言語的なやりとりを行い,その内容をふまえて,対象児がワークシートに記録した。また,課題遂行中には対象児の生体反応を計測した。その結果,子供の発話における言語分析から,いずれの子供も帰納的な推論による言語化が可能となった。生体反応の変化として,課題遂行中の画面を見ている時間に変化はなかったものの,注視時間については,セッションを経るごとに,短くなった。これらは,課題の遂行にあたって見るべきポイントが明確化されたり、選択肢を注意深く確認することを反映した結果であると考えられた。 これらの結果に基づいて,ダイナミックアセスメントを研究テーマとしている研究者とともに、特別支援教育におけるダイナミック・アセスメントの概念を整理し、DAにおける言語的なやりとりや生理心理学的手法を用いたデータの分析方法や意義について議論した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナウィルス感染症の影響により、自身の子供が通う保育園の断続的な休園等があり、当初予定していた研究の時間を十分に確保することが難しかったため。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究遂行に支障が出ないよう、育児に関しては、ヘルパーなどの利用を含め、対応したい。
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次年度使用額が生じた理由 |
学会参加費がオンライン実施となり参加費が減額されたこと等により、残額が生じた。次年度は、これらの残額を含め、実験実施にあたっての謝金や学会での成果報告を中心に支出を行う予定である。
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