研究課題/領域番号 |
20K14081
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
大山 牧子 神戸大学, 大学教育研究センター, 准教授 (70748730)
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研究期間 (年度) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | リフレクション / 大学教育 / 大学教員 / reflection in action / reflection on action / 省察 |
研究実績の概要 |
本研究では、大学教員が継続的に教授活動を改善するためのリフレクション支援を目指して、教育レパートリーの生成と活用の循環プロセスを明らかにすることである。具体的には大学教員を対象に、授業実践事後のリフレクション(reflection-ON-action)によって生成される教育のレパートリーと、実践渦中のリフレクション(reflection-IN-action)によって活用される教育のレパートリーを、実践的な縦断研究を用いて明らかにすることを目標としている。 2022年度は2021年度に引き続き、教員の授業実践後のリフレクション(reflection-ON-action)によって生成される教員のレパートリーの抽出を行うためのインタビュー調査とその分析を行った。具体的には、同一科目を担当するキャリアの異なる大学教員3名に対して、昨年度の授業からの変更点と、今年度の授業の内容に関わるリフレクションを聞き取り分析した。その結果、キャリアの違いによってふりかえる内容の中でも、同様の内容を担当している他の教員の存在の認識が異なることが明らかになった。今年度の調査により、リフレクションによって生成される教員の教育のレパートリーが明らかになったと共に、キャリアによるレパートリーの違いが確認された。また今年度は、今後に向けて教育のレパートリーの内容を詳細に明らかにする下地を作るために、大学生を対象にしたリフレクションの要素を明らかにした研究を行い、日本教育工学会で論文としてまとめた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2020年度、covit-19により、対象となる教育実践が計画通りに実施されなかったことから引き続き計画が1年間遅れている。本研究は、教育のレパートリーを明らかにするため、連続で同じ実践を行う際に次にどのように活かすのかを聞き取る必要があったため、インタビューの時期もずれることとなった。故に、当初の計画からほぼ1年間遅れており研究機関を延長することになった。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度は2022年度に明らかになった教員の教育のレパートリーの内容をまずは日本教育工学会で発表し論文化する。また、その内容をもとに、リフレクション支援の方策を開発する。具体的には、授業実践事後のリフレクション(reflection-ON-action)によって生成される教育のレパートリーが、実践渦中のリフレクション(reflection-IN-action)によってどのように活用されるのかを明らかにした上で、その支援を検討する。実践渦中のリフレクションは、授業画像をアイトラッキングを用いてふりかえることで、擬似的なreflection-IN-actionの状況を作り出す。そして具体的にどの場面でレパートリーを活用しているのかを同時に行うインタビュー調査によって分析する。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究計画が1年遅れているため、主に、研究成果を発表するための出張費を次年度に計上する必要が出てきた。具体的には、研究成果を発表するために、日本教育工学会の全国大会並びに研究会で発表するための出張費や、論文の抜き刷り代として使用する。また、アイトラッキングを用いる調査について、その研究対象社への謝金とデータ整理のための補助者への謝金として執行する予定である。
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