研究課題
若手研究
「ひきこもり」が自身にとってどのような役割(意味)によって維持されているのか,という「ひきこもり機能」とその変化を明らかにすることを目的とした。ひきこもり経験のある方に協力を依頼し,研究1においては70名,研究2においては416名(加えて,半構造化面接を用いた予備調査7名)の回答を分析対象として,ひきこもり機能をアセスメントする尺度を作成した。1年間の前向き調査を行った研究3の結果,ひきこもり機能タイプが1年後の主観的機能障害を予測する可能性が示された。
臨床心理学
従来,ひきこもりのアセスメントにおいては,なぜその人がひきこもり続けているのか(ひきこもらざるを得ないのか)という「ひきこもり機能」の体系的なアセスメントにほとんど焦点が当てられていなかった。本研究の結果,ひきこもり機能タイプが将来の生きづらさと関連することが示された。この結果は,ひきこもり状態にある人のうち,どのような場合に精神的健康が悪化しやすく,どのような場合に悪化しづらいのかという個人差を理解するために役立つ可能性がある。