本研究の目的は,ストレスが望ましくない習慣的行動の生起に影響を及ぼすメカニズムの一端を明らかにすることであった。具体的には,回避行動が強固に形成されると,もはやメリットが得られなくなっても「自動的に」その行動が継続されてしまいやすいとされているが(習慣的回避行動),ストレスがこの習慣的回避行動の生起を促進するという仮説を検証した。本研究成果からは,この仮説は支持されなかった。本研究の知見のみでは一般化には限界があるが,習慣的回避行動の生起は少なくとも一過性のストレスによって促進されるものではないことを示唆するものであり,不適応的な行動の変容に資する基礎的知見としての意義を有すると考えられる。
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